韓国ドラマ好きなら言わずもがなかと思いますが、「私のおじさん(나의 아저씨)」についての感想です。
日本でドラマの賛否が分かれる理由
初めに私のこのドラマに対する立ち位置をはっきりさせておくと、面白くてめちゃめちゃハマった側の人間です。
ただこのドラマにハマりながら途中から、『このドラマ、韓国人(特に中年男性)以外に共感できるのかな?』という思いがわいてきました。
もちろんそもそも脚本の面白さや、出演している俳優さんたちの演技が素晴らしくて、シリアスだけどコメディ要素もあって面白く見れる作品だと思ったのですが、
主人公の中年男性ドンフンを取り巻く「家族」「友達」「地元」「会社」「キャリア」などのテーマについて100%理解できるのは、おそらく韓国人中年男性だけではないでしょうか。
日本人の評価で良くない方に書かれているのは、このあたりの韓国人中年男性に刺さる内容が、日本人にとっては「なんだそりゃ」ってなったのかなと推測します。
今回の投稿では、そんな韓国人(特に中年男性)に刺さったんだろうなぁというこのドラマの魅力をまとめてみました。
『出世(昇進)』
最初は、1話目から社内の勢力争いが描かれていますが、後半にはドンフンにも出世の話が持ち掛けられる『出世』についてです。
単純な勢力争いの話も面白いですが、共感される部分は
主人公ドンフンが出世できるがどうかの話になった時、お母さんや兄弟など周りからの期待を一身に背負っているいくつかのシーンだと思います。
今だ韓国では学歴社会+役職社会の中で、現実的に会社員であれば「사장님(社長)」と呼ばれるまでではなくても、
「부장님(部長)」「상무님(常務)」「전무님(専務)」とは呼ばれたいし、親としては自分の子供にそうなってほしい、と思っています。
身近なところでも「うちの子は○○(有名企業)に勤めていて」とか、「早く昇進して部長になったのよ」とか、身内の純粋な自慢を聞くこともあります。
親や身内からすると誇らしくて自慢したいし、本人からするとそんな家族に誇られる自分になりたいという思いがみんなあるのだと思います。
そんな社会的、文化的な背景から、会社で働く家族や、自分自身と当てはめて共感した人は多かったのではないでしょうか。
『不倫』
こちらも1話目から出てきますね。
ドンフンの妻で弁護士のカン・ユニと、ドンフンの会社の代表理事でドンフンやユニの大学の後輩でもあるト・ジュニョンとの不倫です。
このドラマを見る前は主人公のドンフンと、IUが演じるイ・ジアンとの不倫ドラマなのかと誤解している人も多かったようですが、それは全くありません。(私もバリバリ誤解していました)
不倫と韓国というテーマでは私自身も体験したこが二つあります。
一つは私が10年位前、韓国の大きな企業の子会社で働いてたときのことで、その親会社の人が日本に出張にきたときに話していたことです。
年齢は50代で、眼鏡をかけていて、身長は176㎝くらいの長身やせ型、既婚者で中高生の子供が二人いる普通のおじさんです。
少人数でお酒を飲んでいたのですが、家族の話などになったときにおもむろに「最近、若い娘とも付き合っていて、お金も体力も大変なんだよなぁ」と自慢をし始めました。
写真も見せてもらいましたが、どうやら若くて綺麗な女性の愛人がいるようでした。
こんなおっさんが、こんな若い女の子を愛人にして自慢するって、普通のことなんかぁと思ったこのと1つです。
もう一つは数年前の話ですが、韓国の会社で食事会をしていたときのことです。
十数名のメンバーですが、私も含めだいたい半分が既婚者で、残りが独身です。
みんなで話をするネタもそんなにないので、毎回独身者の何人かがターゲットとなり、
彼女(彼氏)はできたか?いつ結婚するんだ?○○(同じ社員同士)と付き合ったらどうか?という下世話な話になります。
そんな時は既婚者の私は笑いながら鑑賞しているのですが、ある40代の既婚女性が私に
「トソバンさんも愛人の一人や二人いるんでしょ?」と普通に質問されました。
こんなこと日本人との間では言われたことがなかったので、10年位前のおっさんのことを思い出し、不倫って韓国では身近なのかぁと思った体験です。
2020年のあるネットの記事をみると韓国人男性の41.3%が不倫をしたことがあり、女性は24.3%が不倫したことがあると回答しているようです。
日本では2018年にある会社の調査で男性の26.9%が妻以外の女性と関係を持ったことがあるとあるので、調査方法・対象が違うので単純な比較はできませんが、これだけ比較すると韓国人男性が高いですね。
ドラマの話に戻りますが、ドラマの中盤あたりからユニとジュニョンがなぜ不倫することになったのかが、少しずつ描かれます。
男の私にはすべては理解できていないかもしれませんが、ユニが浮気する理由は何となく分かる気がします。
いつも自分よりもお母さんや兄弟、地元の仲間のことばかりのドンフンに、もっと妻として女性として自分を見てほしい寂しい思いがあったのかと思います。
不倫に至る思い、心の隙間、寂しさなど、日本人と比べて不倫経験の多い韓国人には理解、共感できる部分だったのではないでしょうか。
書きながら少し長くなってきたので、次の投稿に続きます。
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